HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2025年度『受入』

  • 氏名:CHEN.Y [ 台湾 ]

  • 受入期間:2025年04月01日 ~ 2026年03月31日
  • 受入大学:神戸芸術工科大学
  • 在籍大学:国立台湾芸術大学

留学のきっかけ、目的

大学院に進学した当初、既に社会での就業経験を経て復学されたクラスメートたちと出会い、その確かな実力に大いに刺激を受けました。それをきっかけに、私も自身の能力を高めるべく努力を重ね、さまざまな授業において、ドームアートやリアル脱出ゲームなど、異なるメディアを用いた作品制作に継続して取り組んでまいりました。

また、課外活動においても積極的に学術・教育・ゲーム関連のフォーラムに参加し、研究の視野を広げています。特に、台北ゲーム開発者フォーラム(TGDF)では、ゲーム産業における作品の失敗リスクを軽減するための運営戦略や、製品の多角的なマーケティングについて実践的な知識を得ることができました。

日本文化への理解を深めるため、舞踊学科が開講する「西川流日本舞踊」の授業を履修した経験もあります。期中発表では、VRヘッドセットを用いたモーションキャプチャ技術を取り入れ、バーチャルキャラクターと共に《Noss》の舞踊を披露しました。この発表は、西川流の家元や西川淑敏先生からも高い評価をいただきました。

私は、デザイン性に優れた日本という環境において、自らの視野をより一層広げ、学術的な探究心と実践力を磨きたいと考えております。また、大阪・関西万博やTeamlabのような最先端メディアアートの展覧会や学会にも参加し、現地ならではの刺激を受けることで、研究に新たな視点を加えたいと考えております。

帰国後は、新しいメディアとゲームインタラクションの分野における研究を深め、留学経験を通じて培った国際的な視野と問題解決能力を活かし、未知の課題にも主体的に挑戦していく所存です。日本における細部へのこだわり、礼儀作法、デザイン、そしてテクノロジーの高さは、私の学びの模範であり、本留学を通して得た知見を、自身の卒業論文や今後の研究活動に最大限反映させていきたいと考えております。

留学中の体験

日本に来た当初は、他者との会話に翻訳アプリを使用しなければならない状況でしたが、現在では日本語で自然にコミュニケーションを取れるようになりました。日常的なやり取りの中で、今でも聞き取れない語彙に遭遇することはありますが、神戸芸術工科大学の教員や各種サークルの学生との継続的な交流、また一人旅の際に積極的に見知らぬ人と会話する経験を重ねることで、徐々に会話力が向上し、日本語を使うことへの自信も培われました。

本年7月には、台湾芸術大学大学院の友人たちと共に招待を受け、《 2025 京都BitSummit the 13th》 において、ゲーム作品《炎上棉 HOT 糖(HOTSTUFF)》のゲームチームの日本語通訳を担当しました。さまざまな国のゲーム開発者やプレイヤーとの交流を通じて、日本のゲーム産業の規模や活気を肌で感じると同時に、ゲーム制作に対する視野や発想を大きく広げる貴重な機会となり、今後の創作活動の方向性に深い示唆を得ることができました。

語学学習の面では、日本のニュースやポッドキャストを聴いて聴解力を高めるだけでなく、学校ではJLPT N1試験合格対策のためのオンライン講座も実施されています。また、学内の図書館資源や日本語の授業内容も非常に多様で、特色に富んでいます。
図書館には、作品の設定資料集や原書、学術雑誌・論文などが豊富に揃っており、一日中滞在していても全く苦になりません。
日本語の授業では、試験対策の練習だけでなく、茶道、華道、俳句、和服の歴史、日本の昔話、折り紙などの文化体験も取り入れられており、言語を学びながら日本文化の奥深さや魅力をより深く理解することができました。

神戸芸術工科大学大学院での学修においては、ゼミの指導先生の多大なご支援により、オンラインでの授業聴講という貴重な学習機会を提供していただきました。これにより、「ビジュアルスクリプティング入門+プロシージャルCG」など、インタラクティブテクノロジー分野に関する専門的なスキルを実践的に学ぶことができ、ニューメディアおよびゲーム分野における自身の学習を補完することができました。

その中でも特に印象に残っている大学院の授業は、芸術制作を媒介として、地域住民、小学生、障がいのある方々と協働する実践型の授業です。教員および学生との度重なる議論と意見交換を経て、私が提案した制作テーマが最終的に採用されました。「回収したペットボトルを再裁断・彩色し、加熱して再成形する」というコンセプトを、「姫路市竜野町」の「牡蠣」のイメージと結び付けることで、資源の再利用と芸術教育を両立させる取り組みを実現しました。本経験を通じて、芸術が社会参加や公共的コミュニケーションにおいて果たす価値と可能性を強く実感しました。

私はもともと旅行が好きで、日本の神社文化にも強い関心を持っています。滞在期間中には、出雲大社、太宰府天満宮、伊勢神宮、金刀比羅宮、厳島神社など、数多くの有名な神社を訪れました。実際に現地を訪れて観察を重ね、関連資料を調べることで、神道の成り立ちや正式な参拝の作法、御朱印を通して神様とご縁を結ぶという文化的な意味など、神道に関する知識や礼儀を段階的に学び、理解を深めていきました。これらの経験の積み重ねは、神道文化への理解をより一層深めただけでなく、将来、海外からの友人が日本を訪れた際にも、背景や文化的意義を体系的に紹介できる力につながると感じています。

本年は関西地域最大規模の国際展示会である「EXPO 2025 大阪・関西万博」が開催され、実際に9回足を運びましたが、それでもすべてのパビリオンを見学することはできず、非常に残念に感じました。各国がそれぞれのパビリオンを通して独自の技術力や文化的特色、そして未来へのビジョンを世界に向けて発信しており、その中でも特に日本館、電力館、TECH WORLD(台湾館)、クウェート館に強い印象を受けました。パビリオンを訪れるたびに、自身の将来像がより明確になり、卒業後はインタラクティブテクノロジー分野へ進みたいという目標を固めるきっかけとなりました。

留学期間中、大学では企業講演会や就職マッチングセミナーが頻繁に開催されており、社会に出る前に企業が求める人材像、日本で就職する外国人が注意すべき点、そして業界に評価されるポートフォリオの作成方法など、将来のキャリア形成に直結する実践的な情報を得ることができました。また、毎月開催される国際学生向けの文化交流イベントも非常に楽しみにしていました。直近のイベントでは、和菓子作りや茶道を体験するとともに、さまざまな国籍の学生と交流し、国際的な視野を広げる貴重な機会となりました。

一年間の交換留学生活を振り返る中で、特に印象に残っているのは、学園祭の出店を前期から準備した経験です。台湾から日本へ旅行に来る友人に協力してもらい、台湾のお菓子やインスタント麺、飲み物を持参してもらったほか、日本、台湾、タイ、中国の友人たちと共に出店しました。屋台は「台湾屋」をテーマにし、輪投げゲームを企画しました。出店中には、来場者に対して台湾独自の「乖乖文化」を紹介し、台湾では緑色のパッケージのお菓子を機械の上に置くことで、機械が順調に作動するよう祈願するという文化的エピソードを共有しました。こうした直接的な交流を通じて、多くの方に台湾文化を知ってもらうことができ、留学生活の中でも特に貴重な思い出となりました。

この度、HUMAP奨学金を受給することができ、留学期間中の生活面において大きな支援を受けました。経済的な負担が軽減されたことで、学業や日本文化への理解・探究により一層集中することができました。本奨学金は留学生活の安定性を高めるだけでなく、さまざまな学習・交流活動へ積極的に取り組むための重要な基盤となりました。

今後、交換留学の経験や台湾文化に関する交流に関心のある方がいらっしゃいましたら、ぜひInstagram:@yuyu.ki77 を通じてご連絡ください。

留学の成果、将来の目標

本留学では、神戶藝術工科大學において、語学・専門分野・実務応用の三つの側面で大きな成長を得ることができました。語学面では、授業や講座、日常的な交流を通じて日本語の運用能力を高め、当初は翻訳ツールに頼る場面も多くありましたが、次第に自ら議論に参加し、国際的な交流の中で意思を伝えられるようになりました。現在はJLPT N1合格を目標に、さらなる向上に努めております。

専門分野においては、研究室の設備や授業を通じて、インタラクティブ技術、ビジュアルスクリプティング、プロシージャルCGなどの分野に取り組み、VR・モーションキャプチャ・3D制作機器を活用しながら、新しいメディア表現の実践力を高めました。特に「プロジェクトA」では、地域創生をテーマとした作品《海のかけら》を提案・制作し、兵庫県室津の地域文化と環境意識を融合させ、地域住民や子どもたち、障がいのある方々と協働して作品を完成させました。また、文化的プロジェクトの一環として、藁を用いた午年の立体作品《午年立体木造作品》の制作にも参加し、農作業から展示、焼却に至る一連のプロセスを通じて、日本文化における「循環と再生」の価値観を深く理解することができました。

実務および産業との連携においては、学内で開催された企業講座やイベントを通じて、無印良品やSEGAなどの企業から、業界が求める人材像やポートフォリオの重要性について学びました。さらに、《 2025 京都BitSummit the 13th》 において、ゲーム作品《HOTSTUFF》のゲームチームの日本語通訳を担当しました、国際的な現場での実践経験を積むとともに、ゲーム業界への理解を一層深め、将来はインタラクティブ技術およびゲーム分野で活躍したいという目標を明確にしました。

これらの経験を通じて、「芸術 × 技術 × 社会」を融合させる総合的な視点と実践力を身につけることができました。今後は、日本語能力と専門技術のさらなる向上に努めながら、インタラクティブメディアやゲームデザイン分野における実務経験を積み、日本でのキャリア形成を目指してまいります。また、将来的には国際的な視野を活かし、地域創生や社会課題に取り組むプロジェクトに携わり、デザインを通じて社会に貢献できる存在となることを目標としております。

また、この度の奨学金のご支援により、経済的な負担を軽減しながら学業と創作に専念することができました。この貴重な機会を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。本経験を今後の成果へとつなげ、社会への還元および後進への共有に努めてまいります。

本留学経験は、自身の進むべき方向性をより明確にし、さらなる可能性を見出す大きな契機となりました。今後も一層努力を重ね、次のステップへと進んでいきたいと考えております。

今後、交換留学の経験や台湾文化に関する交流に関心のある方がいらっしゃいましたら、ぜひInstagram:@yuyu.ki77 を通じてご連絡ください。