日本語を勉強し始めた頃、親の守りから離れ、一人暮らしたことがない私にとって留学とは、やる勇気のない決定であった。しかし、日本語学部で学習している間に、日本文化について学び、日本からの生徒や学生との交流会に参加する機会があった。交流会やフィールドリサーチの司会をしたり、市内の観光スポットに案内したり、両国の文化と習慣の違いを一緒に調べたりしてきた。その中で一番印象に残っているのは、 「ベトナムが大好きだ。また行きたい」、「機会があれば、ぜひ日本に来てね。今度、日本に案内するよ」という言葉を聞くことである。そのような両国の繋がりからこそ、私も日本に留学したいと思うようになった。いつも魅力を感じている日本文化に触れたいし、今までテレビや写真でしか見えなかった美しい景色を実際に見たいと思う。そのため、本プログラムを貴重な機会として考え、思い切って日本に留学することにした。
日本に留学する一年間で、日本語力の上達、新しい友達との出会い、日本文化を味わうことという三つの目的を持っている。まず、日本語漬けの環境に身を置けることを通じて日本語力を向上させ、日本人のような自然な発音に近づくように努力したいと思う。そして、日本人と様々な国から来た留学生と出会うことで、自分とは違う文化圏の人々と深く交流し、グローバルな視座を持つことを目指している。それから、日本文化に直接触れ、日本人の精神的な考え方を深く理解していきたいと思う。日本で過ごす一日も大切にし、春の花も夏の海も秋の紅葉も冬の雪も丁寧に感じるようにする。日本で学んできた知識と体験を母国へ持ち帰り、新たな価値を作り出したいと考えている。
この半年間で、様々な素晴らしいことを経験してきました。
まずは学習の体験である。初めて日本における大学生活をしており、毎日新たなことを体験できて嬉しい。前学期でも今学期でも登録した科目には満足している。大学の授業を通じて、日本語力の向上、英語力の向上、日本事情及び文化の研究、多国の文化比較という学習目標を少しずつ達成している。今学期、「神戸の景観と歴史」という興味深い科目を登録した。神戸のことについてもっと知りたいと思ったからである。最近、灘五郷と酒造業、六甲山、岡本南公園の桜と梅について勉強した。それらは全て訪れたことのあるスポットなので授業を楽しんだ。熱心で親切な先生方と新しい友達に出会え、皆んなからたくさん勉強になってきた。留学生の先輩たちから独立心、楽観主義、粘り強い性格を学び、日本人の学生と話し合ってお互いの考えをよりよく理解するようになった。
来日を坂にして、ベトナムで学んだ日本語が実際に使っている日本語とは相当違うことに気づいた。日本語学習者として、文法や語彙をたくさん学んだが、自分の知識は日本語能力試験の問題を解いたり、特定のトピックについて話したりするのにしか上手に活用できない。一方、日本人との対話では、相手が言ったことを理解し、素早く返答できるように言語に対する反射神経が必要である。そして、自然な日本語では教科書に載ってある文法があまり使われていない。それゆえ、今の私が話す時に複雑な文法や表現を無理に考えようとしないという学習法を始めた。どのように日本人みたいな言い方を言うか迷ってしまうと、その逆に話し出す勇気がなくなるではないかと思う。 その代わりに、日本人の話し方をしっかり聞きながら言葉を頭の中で繰り返し唱え、記憶し、その話し方を真似していく。言語は基本的にコミュニケーションのツールであり、自分が伝えたいことを相手に理解してもらうための手段だろう。それで、私も自分の言語力で日本人に楽しい話しと良いことを伝えようとしている。
次は日本の自然に対する体験である。日本に来る機会があったら、有名な建物を見に行きたがる人もいれば、美味しい食べ物を試したがる人もいれば、アニメや漫画に夢中する人もいる。私の場合、日本の自然、特に季節の花にハマっている。やはり、日本の自然は美しいことは言うまでもない。そして、日本人の自然に対する愛情にも感心している。ある冬の日に、気温が10度程度しかないにもかかわらず、駅前の花壇でボランティアのおじいさんとおばあさんが忙しく花を植えている姿を見かけた私が驚いた。 季節の花を眺めるのが好きな理由は、日本で過ごした一年間に経験したそれぞれの節目を記録する方法のようなものだからである。秋のコスモスやヒガンバナでも、冬のサザンカやツバキでも、春の梅、桃、菜の花、ネモフィラなど全部美しい。特に、面白いと感じるのは、日本人が老若男女問わず花を見に行き、自然の美しさを楽しんでいることである。花の楽しみ方は人それぞれだが、誰でも小さな花を大切にしており、ゴミを捨てたり花に踏んだり摘んだりしないよう意識が高い。美しくも儚い花々と日本人がその美しさを大切にする姿を見ると、「物の哀れ」という日本の美意識がさらに理解できるようになった。
印象になったもう一つのことは、日本の文化的アイデンティティが上手に保たれていることである。確かに日本に住んでいる外国人の数は毎年多くなる。しかし、外国人留学生や観光客の数が多いにもかかわらず、日本人は国の伝統精神を保っている。有名な観光地、特にお寺や神社には昔の建築物が今も残っている。姫路城、伏見稲荷大社、浅草寺など、観光客が多いスポットでも15~20分ほど歩くと、穏やかな風景を見ることができる。日本に来る外国人も、ゴミは持ち帰るだの、電車の中では大声で話さないだの、列に並ぶだの、「ありがとう」、「すみません」と言った時は会釈をするなどの一般的なマーナに従う。私も日本における年中行事で伝統的な活動をしてみた。例えば、クリスマスにフライドチキンを食べたり、年末にお歳暮を贈ったり、お正月に初詣に行ったり、節分に恵方巻きを食べたり、お弁当を作って友達とお花見に行ったりすることである。
最後は日本人との体験である。日本人が少し冷たく、親しみがたいとよく言われているが、半年ほど日本に住んでいる私は必ずしもそうではないと考える。大学でもアルバイト先でも日常生活でも、日本人から温かい心遣いをもらった。自分の体験だけだが、奈良に行った時、レジを出るや否や、いるおばあさんが手にたくさんの商品を持ったまま私に、きれいに畳まれたビニール袋をくれた。夙川公園でお花見した時、優しいおじさんが桜と一緒に写っている写真を撮ってくれると申し出てくれた。東京を旅行した時も、トイレに財布を忘れてしまったが、幸いなことに一人の女性が追いかけて返してくれた。時々、駅や公園で「今日はいい天気ですね」、「このお菓子は美味しいだよ」、「外国人ですか?留学生ですか?すごいですね」と話しかける日本人もいる。そのような親切な日本人と出会え、いい思い出になった。
これからもさらに役立つ知識を身につけ、素敵な思い出を作っていきたいと思う。
日本での1年間の留学生活は、あっという間に過ぎ去った。夏の暑さと真っ青な空を見て日本に初めて足を踏み入れた日のことを思い出した。この1年間で、本当にたくさんの貴重な経験を得た。先生方、先輩方、アルバイト先の同僚、そして一緒に頑張ってきた友達に、心から感謝している。1年が経ち、今の自分は、日本に来たばかりの自分と何が変わったのか、留学を通して何を達成するのかと自問した。
日本語力の向上:
留学は、新たに日本語を学ぶというよりも、これまで学んできた日本語を実際に使う機会が増えるプロセスだと思う。どんなに知識を詰め込んでも、使わなければすぐに忘れてしまうと気づいた。留学の過程に、私は話すと聞く機会を増やし、「聞く、記憶する、真似する」という勉強方法を重視した。実際に日本で生活する中で、自然な日本語に慣れるよう意識して取り組んだ。また、関西における留学は本当に面白い経験であった。関西弁も少し学び、日常会話に取り入れることができた。やはり同じ国でも、地域によって言葉や文化に違いがある。
大学には、全部の授業を楽しんでいた。流通科学大学の先生方はとても親切であり、熱心に教えてくださった。聞く・話す・読む・書くというスキルや、ビジネス日本語、JLPT対策など、ベトナムの大学でも学んだ科目だが、日本の先生から新たな視点と知識を得た。交換留学生の私たちは冗談で、「授業の配布資料をお土産としてベトナムに持ち帰ろう」と言い合っていた。
グローバルな視野:
多くの留学生が通う大学で学べたことは、私にとって面白い体験であった。様々な国の若者たちと出会い、会話することで、それぞれが異なる文化や個性を持っていることに気づいた。そして、国籍や文化の違う人々と繋がるには、明るいエネルギとオープンな心が必要だと実感してきた。私自身も以前より明るくなり、笑顔が増え、周囲の人たちと積極的に会話するようになった。その前向きな性格が、人間関係の良好さにもつながったのだと思う。
自分自身の成長:
私が感じた自分自身の変化の1つは、より自立し、自分の生活をきちんと管理できるようになったことである。留学当初は、自分の生活があらかじめ決められたスケジュールの繰り返しのように感じることもあった。授業、課題提出、アルバイト、起床時間まで、ほとんど固定されたので自由に遊ぶ余裕があまりなかった。でも、よく考えてみれば、それは大人としての生活ではないだろうか。自分は時間管理のスキルが不足していただけだったから困ったと感じたではないか。今では、しっかり計画を立てるようになった。また、日本人が少なくとも1ヶ月前から予定を立て、関係者に早めに連絡するという姿勢にも感心している。計画的に行動することや、報・連・相の大切さも日本から勉強になった。
そして何より、友情は私の留学生活で得た最高の宝物である。授業で出会った友達、RYUKA国際交流パートナーのメンバー、交換留学生の皆さん、大学にいるベトナム人の先輩たち、アルバイト先のスタッフ、彼ら全員と一緒に過ごした時間はかけがえのない思い出になった。まさに「一期一会」という言葉の通り、人生にはもう二度とないかもしれない素晴らしい瞬間があるものである。でも、大切なのは、共に過ごした時間の中で、心から楽しみ、お互いのことを大切にしたことである。私の友達がそれぞれの夢に向かって頑張っている姿を見ると、本当に嬉しくなる。そして、いつでも助け合える関係があるというのも信じている。
将来の目標:
本プログラムから帰国後、ベトナム大学での勉強が1年残っている。この1年間に、優秀な成績で卒業できるように大学の勉強に専念するとともに、ベトナムにある日本の企業で短期インターンシップを行う予定である。そして、グローバル化が進む現在における、専攻している日本語以外にも世界共通語の英語を身に付けると役に立つだと分かっているこそ、B2レベルの英語資格を取得する必要があると考えている。日本での学習期間中、大学の授業で英語の復習も行っていたので、英語の試験で高得点を目指して頑張りたいと思う。
将来、私は日本語教師になりたいと考えている。それが本業であっても、副業として日本語センターなどで教える形でも良いと思う。ただ、自分の知識を伝えることで、日本に興味のある若者たちが日本語を好きになり、美しい日本についてより深く理解してくれるようになることを願っている。
帰国してから一生懸命自分の目標に集中する。もしかしたら、自分の仕事に役立つ専門分野を深く学ぶために、再び日本に行きたいと思う。日本には、心を動かす美しい自然があり、大切な友達もいるので、そう遠くない将来に必ず戻ってくる。これからも、常に前向きな気持ちで毎日努力を続けていくようにする。
若者である私たちは、日本に来て夢を追いかけるという貴重なチャンスを得た。そして今、日本での歩みを終え、新たな旅路に踏み出すために故郷へ帰ろうとしている。しかし、寂しさはない。これまでに蓄えた知識、大切な友情、日本での素敵な思い出を胸に、帰国するのである。私たちは、日本がどれほど素晴らしい国であるかを、周りに伝えていきたいと考えている。そして、自分が経験し、学んできたことを土台として日本と母国との架け橋になれるよう、これからも努力していきたいと思う。