
私の留学のきっかけは、ホストファミリーとして外国人留学生を受け入れた経験です。母の仕事が国際交流に関連する職種ということもあり、私が幼いころから様々な国の留学生が自宅にホームステイに来ていました。彼らと日本について話したり、母国の文化を教えてもらったりする中で、いつか自分も外国に行って、世界中の人たちとコミュニケーションをとれるようになりたいと考えるようになりました。留学の存在を知ってからは、大学在学中に長期留学に行くことが自分の大きな目標の一つでした。今はそれを実現できたのがとても嬉しいのと同時に、渡航までにもっと自分の英語力を磨こうと意気込んでいます。
そんな私の留学目的としては、語学力の向上と異文化交流があげられます。まず1つ目の目的である語学力の向上とは、英語を学習科目としてではなく、コミュニケーション手段として日常生活の中で運用できるようになりたいという思いから、留学目的の一つとなっています。現在、英語4技能の中でも圧倒的にリスニング力とスピーキング力が足りないと感じており、英語を“学ぶ”のではなく“使う”場面をもっと増やしたいと考えています。そのためには、英語が実際に使われている環境に身を置くことが最も効果的であると考え、今回留学を決意しました。現在は、渡航までの期間にできることとしてオンライン英会話を受講しており、英語を話すことへの心理的ハードルがなるべく低い状態で渡航できるように、意識して生活しています。
次に2つ目の目的である異文化交流は、自分の価値観や常識が通じない環境に身を置きながら色々な背景を持つ多様な人々と交流することで、全く新しい世界や考え方を知り、これからの自分の人生に活かしたいという思いから、最も大きな留学目的となっています。自分が漠然と抱いている外国人に対するイメージは本当なのか、海外で生活するとはどういうことなのか、そして日本を離れたからこそわかる母国の良いところはどんなところなのか。自分の目で見て肌で感じることで、こういった問いに対する答えを導いていきたいと思っています。このグローバル社会において、外国人と接する機会、そして自分が外国に行く機会はこの先さらに多くなると予測しています。一定期間異文化の中で生活し多様な人々と交流した経験というのは、グローバル社会で相手と協働・対話するという場面において、自分自身を寛容にし、相手への理解を深めるのに必ず役に立つでしょう。それに加え、全く新しい価値観を自分に気付かせることで、物事を考える際にこれまで思いつかなかったような視点を得ることができ、間違いなく自分の今後の人生をより豊かにしてくれると考えています。

渡航して4か月が経とうとしている今、これまでに最も経験してきたことは、日本とオーストラリア、もしくはそれ以外の国々との、あらゆる場面での文化や価値観の違いです。留学が始まる前から、このギャップを感じることは想定していて、むしろそれを求めて留学を志した自分なのですが、やはり想像するのと実際に経験するのとでは大きな差があり、日々新たな発見の連続で、新鮮な毎日を送っています。
大学の授業では、英語での講義に苦戦したり、友達との寮生活の中でコミュニケーションが円滑にとれなかったりと、普段以上に時間がかかってしまうことも多々ありますが、その瞬間すらも楽しみながら、自分の将来を見据えて、ゆったりとした時間の流れの中で生活しています。勉強熱心な周りの学生に良い影響を受けながら、メリハリのついた濃い時間を過ごせていると感じています。

この9か月間の留学を通して私は、人生をもっと楽しむべきだということ、もっとマイペースに生きても良いということを学びました。22年間生きてきた中で、こんなにも多様な人々に囲まれて自分の常識を問い直す機会にあふれた環境に身を置いたことがなかったため、毎日がとても新鮮に感じられ、同時に何度も自分のことを見つめ直しました。
渡航前の私は、いつも他人と自分を比べて落ち込んだり、自分がこれからどう生きていきたいのかがわからず、暗い将来に不安を感じていたりしていました。
そんな中、パースでの留学生活が始まり、大学寮でたくさんの新しい友達に出会いました。出身国も専攻分野も年齢も何もかもが多様ですが、「自分軸をしっかりと持って生きていること」、これはどんな友達にも共通していました。他人のことを認め自分のことも認めてあげる、そんな当たり前のことができていなかった私にとって、周りの友達はとても輝いて見えましたし、同時に、私が自分自身を受け入れるのにも大きな影響を与えてくれたと感じています。
色んな人に出会い、新しい考え方に触れたからこそ気付けたことの一つに、何事についても、なるべく時間をかけない方が良い、早いことが正しい、という考えに自分自身とらわれ過ぎていたということがあります。これは生産性を高めるため、という意味で捉えると良いことかもしれませんが、急ぐことが優先され過ぎると、物事の本質や真価を見失う、自分の精神的負担が増える、今のその瞬間を楽しめなくなるなど、ネガティブな影響も出てくるのではと感じるようになりました。これは、オーストラリアで出会った人たちの多くが、自分の時間を大切に、日々丁寧に過ごしていて、実際に自分もそのように生活すると、日常にあふれている些細なことに気が付いたり、小さな変化を楽しめるようになったりしたためです。常に止まることなく前進し続けることこそが充実であると思い込み、それができていない時に落ち込んでいた自分にとって、この気づきはとても大きなものでした。
もしかすると、「留学の成果」として本来書くべきは、もっと学術的な内容、例えばどんな授業を履修し、どんな学びがあり、自分の将来にどう生かしていきたいか、ということかもしれません。しかし、私にとってのこの留学は、大学での学びの域を超えて、自分の考え方に多大な影響を与え、これからの人生を大きく変える経験となりました。