HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2023年度『受入』

  • 氏名:J. W. [ 中国 ]

  • 受入期間:2023年04月01日 ~ 2024年02月09日
  • 受入大学:神戸大学
  • 在籍大学:中山大学


留学のきっかけ、目的

 高校時代、日本のアニメをきっかけに、日本に興味が湧いてきましたが、「日本に留学に行きたい」と思い始めたのは、大学に入ってからのことです。
大学に入って、日本語学科で日本に関する知識を積んできたとともに、日本への好奇心もますます高まってきました。例えば、中山大学にいる日本人の先生から、初めて「山村留学」という言葉を聞きました。日本の小中学生が自然豊かな農山漁村にある学校に通って、田舎ならではの体験を味わうということを指している言葉だそうです。都市化が急速に拡大している現代社会においても、大自然の恵みを忘れずに自然の大切さを子供に教えるなんて、偉いことなのではないでしょうか。日本人は、世界有数の大都市を作って、戦後経済の奇跡を起こしただけでなく、常に大自然に敬意を抱いて、大自然と共存共栄していくという一面もあると私は初めて知りました。また、「日本ニュース解読」という授業で、「外来語訴訟」のような面白いニュースを見ました。このような日本の特色のあるニュースを見るにつけ、新世界への扉が開いたような気がします。日本のことを知れば知るほど、日本に対する興味が抑えられなくなります。
 「日本」というのは、教科書にある概念ではなく、現実世界に存在している国です。一億も超える住民がこの土地で充実した毎日を送っています。大学での勉強によって、日本を知るにはその場に身を置いて生活する必要があると知った私は、日本への留学を決意しました。留学を通して、自分の目で真の日本社会を確かめたいと考えています。

留学中の体験

 日本に来てもう半年が経ちました。最初はバスの乗り方さえ分からなくて、溢れんばかりの不安を抱いていました。でも、日本の人々はとても親切で、皆さんの優しさに救ってもらいました。日本に来た初日に、見知らぬおばあさんが迷子になった私を助けてくれました。あの豪雨の日に差し出してくれた傘とおばあさんの微笑みは一生忘れられないでしょう。
 学校でもいい人と出会いました。最初の授業では日本語はまだ未熟で、先生の話す速さになかなかついていけませんでした。どうすればいいのか迷っていた時に、ある女の子がノートを貸してくれました。彼女のおかげで、私の最初の授業は無事に終わりました。それに、彼女の熱心な行動から私は勇気をもらって、積極的な態度で学校生活に向き合えるようになりました。他の授業でも日本人のクラスメイトが色々助けてくれて、感動しました。皆さんのやさしさに包まれた私は本当に幸せです。
 先生方の授業はとても楽しくて、まるで魔力があるように、目をそらすことができませんでした。前学期は様々な分野の授業を取って、視野を広げました。一番面白かったのは国文学の授業です。その授業を通して、日本文学の深さを実感しました。
 サークル活動も学校生活に欠かせない一部です。最初はちゃんと活動に参加できるか皆さんと仲良くなれるか心配していましたが、みんなの熱心で不安が消えてしまいました。私は探検部とボードゲームの会の入部体験に参加しました。最後は入会しませんでしたが、新歓などでめちゃくちゃ楽しい時間を過ごしました。探検部の新歓は六甲山に登って、神戸の夜景を眺めることです。運動不足の私にとっては辛かったですが、そこで出会った人々と驚くほど綺麗な景色はかけがえのない思い出です。ボードゲームの会の入会体験では、先輩方がゲームのルールを詳しくて分かりやすく説明してくれて、私が皆さんと一緒に楽しめるように全力でサポートしてくれました。おかげさまで、楽しい一日を過ごしました。私が入会したのは児童文学研究会です。文学好きな皆さんがここに集まって、話し合ったり創作したり合評会を行ったりして、充実した時間を過ごしました。皆さんはいつも積極的に私に話すチャンスを作ってくれて、知らないうちにみんなと仲良くなりました。童文にいるとき、いつも家のような暖かさを感じます。心から「童文に入って本当によかった!」と叫びたいです。
 学校生活のほか、私は日本のあちらこちらに旅行に行って、自分の目で日本の社会を理解するように努力してきました。神戸だけでなく、奈良や大阪、京都、東京に行って、学校で育った感受性を発揮して自分の身で日本を感じました。人間と自然、都市と田舎、若者とお年寄り、日本の社会は様々な面で絶妙なバランスを取っています。童文の友だちから見ると、日本の「神道」の真義はここにあるそうです。勉強になりました。
 あっという間に後期が始まりました。一年間の留学ももう半分終わってしまいました。この半年間、色々なことを学んで、様々な人と付き合って、たくさんのところに行って、日本の社会を自分の目で確かめて、教科書に書かれたのではなくて現実にある日本を確かめました。非常に貴重な経験でした。これからは残り数か月を最大限に活用して、有意義に過ごそうと思います。

留学の成果、将来の目標

 光陰矢の如し、一年間の留学が終わりに近づいています。この一年間は様々なことを経験して、充実した日々を過ごしてきました。
 私が通っている神戸大学文学部は、驚くほど優秀な先生が多いと感じました。先生方の授業を通して、知識に対する好奇心が満たされて、日本への理解も深められました。国文学の授業で、日本近代文学の伝承と前衛を実感しました。三島由紀夫と大江健三郎の作品から、戦後日本社会に漂っていた不安を感じて、日本伝統の美意識が文字を経由して私に伝わってきました。彼らが実践した文学作法が世界の最先端に立っていると言えます。文字という記号あるいは文学という形式を用いて、近代の日本と世界に対する理解を表現しました。社会学と人文地理学の授業で、日本の学者がどのように西洋の理論を日本に導入して、またどのように日本独自の理論を育てて、日本の社会に適用させたのか勉強しました。一番印象残ったのは90年代から21世紀初頭にかけて日本における野宿者問題です。バブル崩壊で野宿をせざるを得ない人たちに対する支援や排除などといった事業から、公共空間の私営化や新自由主義の展開が見られます。日本古代文学と日本古代史の授業を通じて、日本人の精神や文化の発祥がどんどん明らかになっていく気がします。まさに「歴史を鏡にして、過去に照らして、現在を理解する」だと思います。また、歴史・古代文学研究の方法論も先生方が教えてくださいました。授業で先生の指導のもとで山ほど多くの文献から自ら問題を発見して、それを回答するための手がかりを探すという学術研究の方法を身に着けました。中国文学の授業で、今まで考えたことのない視点で中国の作品を読むことができました。日本ではフェミニズム研究が発達して、フェミニズムの観点から中国の文学作品を研究するのは私にとって新しい世界へのドアが開いていたように驚きました。西洋美術史とイギリス文学の授業で、西洋の美意識がどのように日本を影響したのか、日本の学者が西洋の美に対してどう考えているのかを勉強しました。日本人が持つこの開放性こそ、現代日本の繫栄を作り上げた最も重要な性格ではないかとこの授業を経て私は考えています。
 授業以外でも、貴重な思い出をいろいろ作りました。11月の頃に、私が入会した児童文学研究会の皆さんと一緒に神戸大学の文化祭である六甲祭に参加しました。出展のための部誌を印刷したり、文学おみくじを作ったり、展示用の教室を飾り付けたりして、疲れたけど本当に楽しかったです。初めての文化祭、初めての打ち上げパーティー、かけがえのない思い出、かけがえのない友人。他に、年末年始の時に年越しパーティーを行ったこと、西宮神宮に初詣に行ったこと、余呉高原に行ってスキーをしたことなど、楽しい思い出が私の人生を彩りました。
 帰国したとしても、この一年間の思い出を心の奥に宝物として大事に保存します。ここで得た成果を活かして、日中両国の友好関係のために一生懸命頑張りたいと思います。将来、交換留学生ではなく修士や博士としてまた日本に留学にいこうと考えています。学術交流を通じて、日中両国の間に橋をかけて、お互いの発展に貢献したいと思っています。