HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2022年度『受入』

  • 氏名:Phan Minh Chi [ オーストラリア ]

  • 受入期間:2022年10月31日 ~ 2022年11月30日
  • 受入大学:兵庫県立大学
  • 在籍大学:カーティン大学


留学のきっかけ、目的

HORNにより西オーストラリア州パースのカーティン大学と日本の兵庫県姫路市にある兵庫県立大学との間の研究交流を促進した。1か月の滞在期間に、大学での講演や、学生とのコミュニケーション、界面活性剤の機能開発に関する実験を行った。

留学中の体験

鉱物中に含まれる微量の有用資源は、一度鉱物を水に分散した後に、さまざまな界面活性剤を用いて有用資源のみを分離しているが、非常にロスが大きい。そこで界面活性剤の化学構造を新たに設計することで、非常に効率良く鉱物中から微量有用資源を回収できる可能性がある。本研究申請では双性イオン界面活性剤の合成とキャラクタリゼーションを行うことを目標とする。将来的には、得られた技術を鉱物中からの有用物質の回収に結びつける。私はこれまでに界面活性剤の表面張力の経時変化の測定と、理論的な表面張力の予測モデルによるシミュレーションを行った。

留学の成果、将来の目標

2022年11月14日(月)に、主に大学院生と大学のスタッフ向けに「The molecular arrangement of surfactant and counterion near air/water surface: new insights obtained under electrostatic field」というタイトルで1時間の講演会を行った。
イオン性界面活性剤は、多くの工業プロセスで使用される重要な試薬の一種である。界面活性剤のマクロな特性は、その両親媒性の性質によって決定される。しかし、表面における分子間相互作用は依然として不明である。最近、我々は静電場下での界面活性剤層を研究する新しい方法を開発した。その結果、界面活性剤が発生する張力は、静電場の強さに応じて直線的に減少することが明らかになった。この実験結果は、分子シミュレーションによっても確認された。さらに重要なことは、このシミュレーションによって、相互作用の分子的な性質が明らかになったことである。従来と異なり、電場は対イオンを界面活性剤から解離させることはなかった。その代わりに、界面活性剤と対イオンの周りの水の配置が再配列された。この結果は、界面活性剤の吸着における水の配置の役割を確認するものである。この新しい知見は、空気/水表面における界面活性剤の挙動を予測するための重要な基盤となる。