HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2022年度『派遣』

  • 氏名:成瀬 ひなの [ 日本 ]

  • 受入期間:2022年09月16日 ~ 2023年06月16日
  • 受入大学:エバーグリーン州立大学
  • 在籍大学:兵庫県立大学


留学のきっかけ、目的

私はマイノリティの子どもたちにとっての理想的な教育や教育環境を考え、日本で実現できる多文化教育を追究したいと考えています。子供と関わる実践活動を通して、より多くの子供を理解する為には広く教育について学び、同時に自分の視野も広げるべきだと思い留学を決めました。留学先であるエバーグリーン州立大学では多文化に関して多くの研究が行われています。そして教育学を社会学、心理学、発達学からみるなど一つのクラスの中でも様々な分野の視点から考え方を学ぶ形式を取っています。このような講義やプログラムヘ参加する中で多文化教育の実現方法を学んでいきたいです。

留学中の体験

 留学先での最後の授業が4月から始まりました。これまでの授業を通して、学びたかった教育や心理学に関する知識が増えているだけでなく、自分の意見を簡潔に述べる工夫や、様々な背景や分野を織り交ぜて意見を述べることなど、様々な能力が鍛えられている実感があります。また、授業ではディスカッションをする機会が多いのですが、日本とアメリカを比較するなど留学生という利点を活かし、ユニークな視点を提供できるのが嬉しいです。結果として自国について学び直す機会にもなっています。 
 前回の長期休みには、アリゾナ州に行ってきました。グランドキャニオンなど、長年の年月が作り出した壮大な景色はとても圧巻で、違う惑星にいるような気分になりました。それぞれの観光地だけでなく、道中の景色も本当に美しく、車内から何時間も見入っていました。また、旅行先では様々なの国から来た人と関わることもできました。アメリカでの一人旅は不安もありましたが、本当に一歩踏み出して良かったと思います。
 留学を振り返ってみて、ここまで本当にあっという間でした。後悔の残らないよう、残りの時間も大切に過ごします。

留学の成果、将来の目標

 9カ月間の留学生活を振り返り、日本で実現できる多文化教育について学ぶという当初の目標を達成できたと実感しています。
まず、エバーグリーン州立大学ではLGBTQを中心に多文化への理解が進んでおり、日常的に多文化について学ぶ機会に恵まれました。例えば、自己紹介に自分の代名詞(she/herなど)を組み込むことや、ネイティブアメリカンの友人と歴史や言語、アイデンティティ関して意見を交換する機会がありました。これらは自身のアイデンティティについて考えるきっかけにもなりました。
 また3学期にわたるクラスを通して、幅広い視点から学ぶことで教育に対する理解がより一層深まりました。エバーグリーン州立大学には学際的な学習環境が整っており、特定の学部にとらわれずに学びを深めることができました。特に、トラウマを抱えた子供や発達障害を抱えた子供の為の教育について学ぶ最後のクラスでは、これまで学んできた教育学や心理学、精神病理学が見事に統合されていました。また、講義やリーディングだけでなく、授業内のディスカッションを通じて毎日のように新しい価値観やアイデアを受け入れる経験を積むことができました。
 さらに、現地の小学校で行ったチューターのボランティア活動を通じて、実際に多文化教育がどのように行われているのか学ぶことができました。そして、日本でどのように多文化教育を実現できるのかを実践的に考える機会になりました。また、現地の高校への訪問や日本のプロモーションイベントへの参加も、自分の視野を広げる上で大きな役割を果たしました。
 留学生活はあっという間に終わってしまいましたが、9カ月間目標に向けて行動し学び続けたことは非常に価値ある経験となりました。そして、帰国した今も留学先の大学の学生と週に一度オンラインミーティングを行っています。この活動を通じて、留学で得た新しい考え方を受け入れる姿勢や語学力を忘れることなく維持し続けたいです。具体的な今後の目標や進路についてはまだ考え中ですが、留学を経験し多文化に触れる機会を得たことで自分の視野が広がったため、従来の枠にとらわれず将来の方向性を模索していきたいと思っています。