私は、生物学的プロセスを利用した環境浄化技術開発の研究を進めています。そのような研究の一つとして、希土類発掘による環境汚染の防止、および希少な希土類を排水から効率的に回収するための技術開発に大きな関心があります。私の研究コンセプトの一つは、低コストで環境に優しい、ということです。希土類は、IT機器の高性能化に欠かすことができない元素で、今後ますます需要が大きくなると考えられます。そこで、私は、微細藻による希土類の吸収・回収を発案しました。そのためには、まず希土類が微細藻類の増殖に与える影響を実験的に評価する必要があります。このような研究を着実に遂行するため、微細藻類の生理学的生化学的研究はもとより、応用利用研究も積極的に行っている兵庫県立大学大学院生命理学研究科での研究が有用と考えた次第です。
1. 希土類元素がシアノバクテリアと珪藻の増殖に与える影響の濃度依存性を、汚水の一次流入水を使って実験しました。
2. 理学部の学生を対象にして講義を行いました(写真)。
3. たつの市立西栗栖こども園の園児を対象にして、英語でのお話をしました。
4. 播磨高原東小学校の全児童を対象にして、英語での授業を行いました。授業の内容は、メソポタミア文明、オーストラリアの歴史と文化(とくにアボリジニについて)でした。
5. 理学部および生命科学研究科の学生・教員を対象にして、自身の研究に関するセミナーを行いました。
希土類元素がシアノバクテリアと珪藻の増殖に与える影響には大きな濃度依存性があることが判明しました。そのような研究は国際的にも報告例がほとんどなく、新規性の高い研究ができました。油脂蓄積量等の光合成活動に対する影響を評価し、専門誌に投稿する予定です。この研究を基に、産業汚水から希土類元素の回収のための新しい手法を開発したいと考えています。
小学校で授業を行ったのは初めての体験で、とても良い経験でした。